「萌出(もえいづる)」
志貴皇子(しきのみこ)。今回のテーマ「萌出(もえいづる)」である。
人の中から思わず萌でたアートは美しい。人の本質が、かいま見える時である。そして人は、個々の個性が異なるからこそ、理解し合うために向かい合うことに価値があり、コミュニティーの基点としても無限の可能性を見出せると考えている。かがわ・山なみ芸術祭は、このような「アートシーン」を提供したいと考えており、そこから生まれる「もの」、「こと」の「萌出」を、この「場」に集まった人と共に共感し体験を重ねていきたいと考えている。
ご想像の通り、アートの世界は一見、自由奔放な世界に見えるが、実際は自由は稀有なもので、そう見えるだけで、本当に自由なアーティストなど、私はこれまでほとんど見たことがない。むしろインフェリオリティリー・コンプレックス(劣等感)渦巻く世界であり、容姿,体力,知的能力,学歴、性格,血筋,財産,社会的地位等々、つまり、対社会、対人間、そして対自己に関して、被害者となり加害者にもなって、底無し沼のような世界に沈んでいるのである。
思わず溢れ出たアートは尊い。このような「萌出」を、腐った土壌に置けない。尊い表現が「萌いづる」に相応しい「場」になることを模索しているのである。
かがわ・山なみ芸術祭 2022 AYAGAWA
実行委員長 倉石文雄
※参考資料
「萌出」について / 万葉集「石走る垂水の上のさわらびの毛要出(萌いづる)春になりにけるかも」 志貴皇子(しきのみこ)は天智天皇の7番目の王子で、皇位を争うことなく、生涯文化人であった、歌人として万葉集に繊細で美しい和歌を残している。現在の皇室は志貴皇子の直系である。
※コロナ感染症等のやむを得ない事情により、本企画が中止されることや企画内容が変更される場合があります。
「かがわ・山なみ芸術祭」は、アーティストと地域住民が共同して芸術祭を企画運営し、地域の持つ歴史や地理的由来とアーティストの個性や独創性を有機的に融合させ、芸術文化の力で、新たな地域文化の創造と地域力を創出し、アーティストと地域の、両者の活性化につなげることに寄与していく。さらに、アーティスト・地域住民・行政が三見一体となった芸術祭を実現し、それぞれの視点から、話し合いを重ねることで「ものづくり」・「ことづくり」の新たな文化創出の場の形成を目的とする。